ニートとは?意外と知らないニートの定義

生活

現在の日本において「ニート」という用語を知らない人は、もはやごく僅かだろう。
しかし、その正確な意味を知っている人は少ない。
一般的な認識としては、『成人していながら働きもせず、学校にも通っていない親のスネかじり』というものではないだろうか。

はっきり言ってそれは正しくない。

このブログは快適なニート生活を推奨するものだが、その第一段階として、ニートに対する認識を明確にする必要がある。

“ 最も重要なことはビジョンを持つこと、ゴールを持つことだ。
 なぜならそのビジョンが無ければ、またそのゴールが無ければ、
 あてもなく漂流し何処にも辿りつけない。 
                     アーノルド・シュワルツェネッガー”

ニートの語源

「NEET」とはイギリスで生まれた用語でNot in Education, Employment or Training』の頭文字をとった造語である。意味としては『就学・就労しておらず、職業訓練も受けていない若者』となる。
これは1998年にイギリスのブレア政権によって新設された社会的排除防止局(Social Exclusion Unit)の作成した調査報告書“Bridging the Gap(1999)が基となっており、調査対象は16〜18歳だった。

日本では厚生労働省が『…非労働力人口のうち、年齢15〜34歳、卒業者、未婚であって、家事・通学をしていない者』としている。
こちらは『平成16年版・労働経済白書』(2004)にあるのが出典だ。

ニートの定義

ニートの定義は、それを定義する組織や時代によって、微妙な違いがある。

【イギリス】
NEETという用語の発祥であるイギリスでは、『就学・就労しておらず、職業訓練も受けていない若者』というのは一貫しており、失業者や家事労働者を含んでおり、既婚者も当てはまる点に注目だ。

年齢については変化が見られ、私が確認できただけでも下記のように変化している。

16歳〜18歳(参考: Bridging the Gap(1999))

15歳〜19歳(参考:『平成16年版・労働経済白書』(2004))

16歳〜24歳(参考:DfE neet-statistics-annual-brief_2023”)

【日本】
日本では当初、内閣府と厚生労働省が二重に統計を作成しており、その定義に違いがあった。

厚生労働省では、『15〜34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者』としており、

内閣府では
『①高校や大学などの学校及び予備校・専修学校などに通学しておらず、
 ②配偶者のいない独身者であり、
 ③ふだん収入を伴う仕事をしていない15歳以上 34歳以下の個人である
 若年無業者(2002年時点で213万人)のうち、
 就業を希望しながら仕事を探していない「非求職型」(43万人)と、
 就業希望 を表明していない「非希望型」(42万人)の合計がニート(85万人)である。』
(参考:内閣府「若年無業者に関する調査(中間報告)」(2004))
としていた。

厚生労働省の白書と内閣府の報告の違いは主に『家事』の取り扱いで、報告では
『…白書では非労働力の現状として、主に家事をしていると回答した人々が除かれているのに対し、本報告で は 収入となる仕事をしない理由として家事をしていると答えた人々を含む。』
となっている。

つまり内閣府は家事労働者もニートに分類していた。

のちに政府全体での整合性を指摘され、厚生労働省の定義に落ち着いた。

【経済協力開発機構(OECD)】
OECDの定義では

「15~29歳で就業も就学も職業訓練もしていない人。就学は短時間の就学行程にある人も含まるが、短期就学は含まれない。就業はOECDやILOのガイドラインに従って判断(就業者は週1時間以上賃金労働に就いている、あるいは就いている状態だが調査時点では一時的に休んでいる人)」
“Youth not in employment, education or training (NEET)” (2023)

となっており、に就職活動中や家事労働の者、既婚者を含んでいる。

ニートの同義語

【ステイタス・ゼロ(Status Zer0)】
NEETとほぼ同義。イギリスにおいて、NEETという用語が生まれる前に使われていた。

【ni-ni】
スペイン、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ペルー、ウルグアイなどの国で、NEETの同義語となっている。
これは「ni estudia, ni trabaja」(「勉強も仕事もしない」)を意味する。
ポルトガル語には「nem-nem」という同義語がある。

結論

以上のように様々な定義のあるニートだが、日本においては

『15〜34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者』

と認識しておけば問題ない。

ニートの一般的なイメージと少し違っていると思う。
特に完全失業者を含めない点だ。
『仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む。)』はニートではないのだ。

つまりニートは『働かない』という意思を明確にしている者だけが名乗れる称号だ。
メンタル的になかなかハードルが高い。

これでニートというゴールを認識できた。
快適なニート生活を目指す者としての第0歩目だ。

出典

“Bridging the Gap – New Opportunities for 16 –18 year olds not in Education, Employment or Training”(1999)

DfE “neet-statistics-annual-brief_2023”

『平成16年版・労働経済白書』(2004)

内閣府「若年無業者に関する調査(中間報告)」(2004)

国会会議録検索システム
第164回国会 参議院 経済産業委員会 第3号 平成18年3月22日

OECD “Youth not in employment, education or training (NEET)” (2023)

総務省統計局 『労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均』

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